Sign of Love
 送るということは、そっか、その人の家に行くってことだから……さすがにそれはまずい。

 でも、坂巻さんはわたしのことをそういう対象として見てくれてるってことなのかな。一瞬想像してしまったら、顔ばかりが熱くなって、叫び出したいくらいに恥ずかしくなった。

「……ごめんなさい」
 言ってみたけれど、何に対する謝罪なのか自分でもよくわからない。

「いやいや、大丈夫」
 坂巻さんの言う大丈夫が何に対する大丈夫なのかもわからなかったけど、そうこうしている間にも、高円寺に到着していた。

「降りようか」
 坂巻さんの手が背中に触れた。緊張で固まっていたはずの肩からは、いつのまにか力が抜けていた。

 改札から吐き出される人の波に乗って、飲食店が並ぶ318沿いに進む。雨が距離を近づけてくれるのなら「ご飯でも食べていきません?」と誘えたらよかったけれど、今日は何故かアクションを起こすのがワンテンポ遅くなる。
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