Sign of Love
■5
食事を終えて店を後にする頃には、あれだけ降っていた雨もすっかり上がっていた。
お酒で顔を上気させた人たちの、明るい声がいくつも通り過ぎていく。行き交う人の邪魔にならないように、わたしと坂巻さんは交差点の少し手前で、歩道の端に寄った。
「やっぱりわたし、自分の分くらいは払います。確かに電車でお金はないって言ったけど、多分足りると思うので。傘にも入れてもらったし、仕事でもお世話になったし、こんなところまで付いてきてしまって申し訳ないし」
「いやいや、誘ったのは僕だから気にしないで」坂巻さんはわたしの申し出をやんわりと断った。「じゃあまた」と言い出せないたった数秒に、名残惜しさが募っていく。
もう少しだけ側にいたい。そう思う気持ちが伝わってしまうのか、坂巻さんも口を閉ざした。
呼吸に合わせてゆっくりと上下する胸を眺めながら、頭の中をぐるぐると巡っている、たくさんの言葉を飲み込んだ。気まずい沈黙を破ったのは坂巻さんだった。
食事を終えて店を後にする頃には、あれだけ降っていた雨もすっかり上がっていた。
お酒で顔を上気させた人たちの、明るい声がいくつも通り過ぎていく。行き交う人の邪魔にならないように、わたしと坂巻さんは交差点の少し手前で、歩道の端に寄った。
「やっぱりわたし、自分の分くらいは払います。確かに電車でお金はないって言ったけど、多分足りると思うので。傘にも入れてもらったし、仕事でもお世話になったし、こんなところまで付いてきてしまって申し訳ないし」
「いやいや、誘ったのは僕だから気にしないで」坂巻さんはわたしの申し出をやんわりと断った。「じゃあまた」と言い出せないたった数秒に、名残惜しさが募っていく。
もう少しだけ側にいたい。そう思う気持ちが伝わってしまうのか、坂巻さんも口を閉ざした。
呼吸に合わせてゆっくりと上下する胸を眺めながら、頭の中をぐるぐると巡っている、たくさんの言葉を飲み込んだ。気まずい沈黙を破ったのは坂巻さんだった。