願わくは、雨にくちづけ

「伊鈴は、いつも俺のことを気にかけてくれるね。そういう優しいところ、大好きだよ」
「っ!! 煌さんは私を甘やかしすぎです」
「まだまだ序の口だよ。これから毎日、もう十分って言われても、伊鈴を甘やかして愛し尽くすよ」

 タブレットを傍らに置き、おもむろに腰を上げた立花がキッチンに入った。

 伊鈴も彼女なりに気持ちを伝えたり愛情表現をしているつもりだが、いざとなるとシャイだったり強がってしまったりと、上手く甘えられずにきた。
 千夏にも「甘え過ぎかなって思うくらいで、ちょうどいい」と言われ、そうかもしれないと納得させられるほどだ。
 だけど、立花の強い愛情とストレートな言動には、タジタジになってしまうのだった。


「伊鈴はいい奥さんになるね」
「そうですか?」
「うん」

 包丁で野菜を切る彼女を、立花が背中からやんわりと抱きしめる。
 お腹に手を回し、肩に顔を乗せて話す彼は、上手に伊鈴に甘えてきた。

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