願わくは、雨にくちづけ
今日は自由が丘の古民家カフェで開かれると聞いていたので、時間に合わせて東京駅前を離れ、愛車で向かった。
カフェの一角にある座敷には、八神家の社長夫人と繋がりのあるご婦人方が顔を揃えていた。
「こんにちは」
「立花さん、お待ちしておりましたのよ! さぁ、どうぞ。あなたのお席は八神さんのお隣ね」
見目麗しい立花に、婦人方は目を輝かせる。
しかし、全員が見事に着物を着こなし、生き生きとしているので場の空気は明るく爽やかだ。
漂う畳のいい香りに、自然と姿勢を正した。
(いつかは伊鈴もこんなふうに着物を着て過ごすようになるんだろうな……)
何度プロポーズしても、いい返事がもらえていない立花は、表情や態度にこそ出さないものの気にかけていた。