願わくは、雨にくちづけ

「伊鈴、俺の家で暮らさない?」

 もう少し経ってからにするつもりでいたが、伊鈴を大切に思うばかり我慢できなくなった。
 束縛だとか独占欲が強いと思われてもいい。とにかく未来の妻をもっとかわいがっていたいだけなのだ。

 伊鈴は、突然のことにテーブルに置いたベーカリーの紙袋を見つめる。
 クロワッサンを届けに行くとだけ聞いていたので、まさかだったのだ。


「嫌?」

 立花の問いかけに、彼女は大きくかぶりを振る。
 そして、彼にまっすぐ向き直り、答えの代わりに抱きついた。


「煌さんともっと一緒にいたいです」
「うん、わかった。もっと一緒にいられるようになるよ」

 彼女の髪を撫でながら、あらわになった腿に視線を落とし、立花は参ったと言わんばかりに視線を天に投げた。

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