願わくは、雨にくちづけ

 樹は立花にも負けず劣らずの美男子で、彼もまたその場にいるだけで人目を引くタイプだ。
 高身長で手足が長く、スーツ姿も非常に様になるし、朝日屋でともに勤務していた頃は、兄弟で人気を二分していた。


「あー、気楽でいいな、こういう店」
「だろ?」

 新橋の焼鳥店で肩を並べるふたりは、ビールジョッキで乾杯をした。
 樹も、普段の会食ではドレスコードがあるような店ばかりで、たまにはこうして気兼ねなく過ごしたいと思っていたところだった。
 オニオンスライスともろきゅう、白髪ねぎがこんもりと乗った豚の角煮を注文し、少し食べたところでお任せの串盛りを頼んだ。テーブルチャージなど取られることもなく、ビールもワンコインと良心的な店だ。

 兄弟は周りのサラリーマンにまったく馴染めていないが、気にせずに近況を話す。

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