願わくは、雨にくちづけ

 ――10月21日。今日は立花の誕生日で、朝からふたりはずっと一緒に過ごしている。
 ゆっくり起きてブランチを済ませ、午後はどう過ごそうかと、リビングのソファで寛ぎながら話しているところだ。

 伊鈴は、今日を迎えるまでにサプライズをしようとしていたが、数日前にネットで部屋の飾りつけを検索しているのを見られてしまい、あえなく断念。
 さらに、「なにか企んでる?」と彼に先回りされてしまい、サプライズが苦手な自分の不器用さに少し落ち込んだ。

(密かに旅行を計画してもよかったかも……)

 今になって、旅行だったらこっそり手配もできただろうと悔やむ。
 来年こそはと思い直し、「一緒にいられたらそれでいい」と言う彼の希望を叶えるべく、今日は片時も離れずにいることに決めた。

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