願わくは、雨にくちづけ
ほどなくして戻ってきた立花の手には、大きな薔薇の花束がある。
「すごい! 綺麗な薔薇……」
伊鈴が目を瞠ると、彼はゆっくりと彼女の前に歩み寄り、そっと手渡した。
「いつもありがとう。誕生日を祝ってくれる伊鈴にプレゼント」
「えっ、私に!? だって、今日は煌さんの誕生日なのに」
「俺のためになにかしようとしてくれる、その気持ちで十分だよ」
立花は、突然のことに瞳を潤ませる伊鈴をそっと抱き寄せる。
どちらからともなく視線を絡め、わずかに顔を傾けてキスをした。
(火が点くから我慢してたけど、そろそろ限界……)
立花はキスをしながら、彼女の膝にある花束をローテーブルに置き、一層深く咥内に愛を求める。
外はまだ明るく、昼下がりの空は秋晴れだ。
それなのに、どうにも淫らなキスの音がリビングに漏れ、次第に伊鈴の甘えた声も混じるようになった。