願わくは、雨にくちづけ
「辞めて、煌さんと一緒に立花を支えていきたいんです。私じゃ力不足かもしれないけど、今まで得てきた知識を生かせたらとも思って」
「いいのか? あんなに仕事が好きだったのに」
「はい。これからは、日々勉強して、煌さんの隣で頑張りたいんです」
キラキラと希望に満ちた笑顔を浮かべた彼女に、立花は愛おしさが溢れ、思いのままにキスをした。
伊鈴が決心したのは、ふたりのため。
日頃多忙な彼を近くで見ていて、力になりたいと自然と思うようになったし、お客の顔が見れる距離で働きながら、絶やしてはいけない伝統と歴史を守ることの素晴らしさに気づかせてくれた彼となら、立花を支えていけると確信したのだ。
「ありがとう、伊鈴。一生をかけて、お前を大切にするから」
今日までいろいろと思い悩みながらも、店のことや今後のことまできちんと考えてくれた彼女を、立花は命がけで守っていくと改めて決意した。