願わくは、雨にくちづけ
【煌さん、お疲れ様です。明日会えるのを楽しみにしてますね! まだお仕事してますか?】
銀座の街を歩いていると、伊鈴からメッセージが届いた。
ブランド店の壁を背に立ち、スマートフォンを操作しながら、浮かれてしまいそうな気持ちをぐっと抑える。
33歳になる男が、1人でにやけているのは気持ち悪いだろうし、伊鈴への返信にもそれが漏れてしまいそうだからだ。
【ちょっと外出してるけど、もう少ししたら店に戻って、夜は客先と会食をしてくる。俺も、明日楽しみにしてるよ。1週間お疲れ様。ゆっくり休んで】
(明日から3日も一緒にいられるんだなぁ)
月曜は彼女の誕生日当日。伊鈴からはバースデー休暇を取ったと聞かされているので、立花は一層張り切っている。
デートコースも決めているし、彼女に欲しい物を聞いたらなにもいらないと言うので、強引にでもショッピングには連れていくつもりだ。
それに、今日は実家からハウスキーパーを呼んで、この1週間多忙でままならなかった掃除を完璧にしてもらっている。
伊鈴がどれくらい驚いて、喜んでくれるかを考えると、わくわくしてたまらない。