願わくは、雨にくちづけ
時間さえ合えば、いつでもデートをしてきた。
それが食事だけの2時間でも、一緒に眠るだけになるとしても、できるだけ伊鈴といる時間を確保している。
今まで交際してきた女性にも同じだったかというと、そうではない。
突然、店に会いに来た時は、冷たくあしらいはしないものの、食事にも行かずに帰したこともある。
予定通りに過ごせないのが嫌なのではなく、自分のなにが好きで交際しているのか分からない彼女たちに時間を割くのが嫌だったのだと、今になればわかる。
しかし、伊鈴だけは違う。
急に会いに来てくれたら、心の中では飛び跳ねたいくらいに嬉しい。
予定が合わない日が続くと、精神的に参ってしまいそうなほど、彼女が欲しくてたまらない。そんな日が続いた後のデートでは、必ずと言っていいほど伊鈴を抱き潰してきた。
仕事と伊鈴が中心で動いているような日々を知って、負担になっていないかと彼女に心配されたことがあったが、まったくもって問題はない。
ただ、初めて会った時にあまりにも切なそうに、儚く泣いていたのが忘れられず、伊鈴を1人にはしないと決めたから、そうしているまでだ。