願わくは、雨にくちづけ
「おはよう」
「おはようございます」
土曜、10時。
茗荷谷の伊鈴の自宅まで迎えに来ていた立花は、微笑みとともに出迎えてくれた。
しかし、そんな立花の姿に、伊鈴の足が一瞬止まる。
(素敵!! 格好よすぎて、ドキドキしちゃう)
初めて見る立花のスーツ姿に、胸がきゅんとして目が離せない。
ダークグレーのシックなスーツは、控えめにピンストライプが入っている。
潔く清潔感溢れる白いYシャツには、伊鈴の服装と合わせたかのようにロイヤルブルーのネクタイが映え、袖口はカフスで飾られていた。
「忘れ物はない?」
「うん」
デートのために持ってきた着替えなどを入れたショッパーを、立花がすかさず受け取って後部座席に置く。
「きゃっ!」
「……あぁ、やっと会えた」
白檀の香りを久々に感じる。
自宅の前でギュッと抱きしめられ、行き交う人たちに見られて恥ずかしいと思いつつも、この数日会えなかっただけなのに、数カ月ぶりの再会を果たしたようで、伊鈴も喜びを全身で伝える。
「煌さん、会いたかった」
彼の背中に手を回し、ギュッと抱きしめ返した。