願わくは、雨にくちづけ
「どうして、今日はスーツなの?」
「たまには俺もこういうの着たくなる時があるんだよ。……似合ってないかな?」
抱きしめる腕を緩めて、立花が真上から見下ろしてくる。
ヘアスタイルも、いつものナチュラルな感じではなく、きっちりと流れを付けたアレンジをしていてお洒落だ。
「似合ってます! 想像の何十倍も素敵です」
「……伊鈴、俺のスーツ姿を想像してたの?」
「っ!! 別にそういう意味じゃないですよ」
「本当に?」
不意に意地悪な微笑みを見せた立花は、周囲の視線などお構いなしに、伊鈴にキスをひとつ落とす。
やわらかくてしっとりとした伊鈴の唇は、食べてしまいたいほど甘かった。
(あぁ、かわいい。このまま家に連れ込みたいくらいだ)
とにかく伊鈴を溺愛して、思いの丈をぶつけて抱き潰したい立花は、ふうっと息をついて落ち着きを取り戻す。
いつも汚れなく真っ白な愛車の助手席にエスコートされた。
シートに身体を預けた伊鈴は、上着を脱いでから隣に乗り込んできた立花のベスト姿に、またしてもきゅんとする。