願わくは、雨にくちづけ
金目鯛の煮つけや鰹のたたき、旬の魚の握りを食べ、お腹が満たされたふたりは鮨店を出た。
再び、銀座の街を行く立花に時折視線を投げれば、彼も同じように彼女に微笑み返す。
「明るいうちにプレゼントを探しに行こう」
「えっ! 本当になにもいらないですよ」
恐縮する伊鈴の手を引いて、姿勢よく歩く立花は、しっかりと彼女の瞳を見つめた。
「そうはいかないよ。伊鈴の誕生日だし、俺たちが出会って1年経つんだから」
「でも、日頃からいろいろもらってるし」
「それはそれだろ? いいから、俺の言う通りに我儘になって」
立花と交際するようになって、彼を頼ったり、甘えることを覚えたけれど、やっぱり我儘を言うのは慣れないものだ。
ただでさえ、尽くされている伊鈴にとって、これ以上のなにかを求めたら罰が当たるのではないかとさえ思える命令で……。