願わくは、雨にくちづけ
「決められないなら、俺が店を決めていくから。それで、伊鈴が気に入ったものにしよう。いいね?」
「……はい」
こうなると、立花は頑として聞かない。
かわいい伊鈴を、よりかわいらしく綺麗に、そして愛情をたっぷりとかけて自分の好みに染め上げるかのように、とことん彼女を甘やかすのだ。
それからは、百貨店に入ったり、赤いソールの靴が揃うブティックを覗いたりしたものの、どれも伊鈴は首を振った。
立花が似合うと勧めてくるものは見るからに高価だし、誕生日だからといってこんなに我儘を聞いてもらうとなると、これから先が気がかりだった。
「ここで最後にしよう」
「え……ここ、ですか?」
途中で休憩を挟みながら、3時間ほどかけてプレゼントを選び続け、最後は世界的なジュエリーブランド店の前に着いた。
「む、無理ですっ」
躊躇なく入っていく立花の手を、力強く伊鈴が引っ張る。しかし、彼は小さくため息をついた。