願わくは、雨にくちづけ

「このブレスレット、本当に素敵。煌さん、ありがとう」
「気に入ってくれてよかった。サイズも伊鈴の細い腕にぴったりだ」

 手を動かすたびに瞬くダイヤモンドの輝きにうっとりする。

(煌さんの誕生日にも、なにかしてあげられたらいいな)

 立花の誕生日は10月21日。
 1年前のその日は、付き合ったばかりで、一緒に過ごして祝うだけだった。
 彼は〝伊鈴がいてくれるだけでいい〟と言ってくれたけれど、こんなに特別な時間を用意されたら、伊鈴もなにかしたくなるのだった。


「煌さんのお誕生日はどうしましょうね。なにか欲しいものはありますか?」
「伊鈴がいいな」
「もう、そうじゃなくて! なにかこう形の残るような……」
「伊鈴がいいんだよ。それ以外は要らない」

 甘い答えに困り顔で言い返すが、彼はふっと微笑むばかりだ。

(今度、着物の小物とか、見に行ってみようかなぁ)

 伊鈴は彼の好きそうなものを探しに行こうと、平日の予定を頭に並べる。残業なく帰れる日なら、帰りがけに百貨店に寄れそうだ。

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