守りたい ただあなただけを
「リューマ。」
最短距離を進んでいると、
市街地中心の市場で声を掛けられた。
「ウィグさん。」
相手がバス自衛部隊のウィグ曹長だと分かると、後ろを付いてくるイズミ達にハンドサインを送った。
(大回りして先に行け。)
「荷物を持って、どこかに出掛けるのか?」
「いえ、久し振りに学習院へ遊びに行って、
師範に組み手してもらおうと思って。」
「稽古か・・・。」
「ウィグさんもたまにはどうですか?」
「・・もうお前には勝てないから遠慮しておくよ。」
「子供の時から、親父とウィグさんが稽古してくれたおかげです。」
「・・・しかし、もう我々には刀も鉄砲も弓も無い。
努力を重ねたのに虚しいものだな・・。」
「・・じゃあもう俺行きます。」
ウィグ曹長の目を見ながら、
視界の端で無事にここをすり抜けたイズミとエイダの姿を確認した。
俺も早く追いつこうと会話を切り上げる。