蒼い月と紅の灯火

「嘘……」




人の心をあれだかき乱しておいて消えるのか。
嬉しいけど……。




ポツンと取り残される。
やることは、ないけれど。




ぽたり、ぽたり。
涙がこぼれ落ちる。




「ははっ、怖かったんだ、私……」




自虐的な笑みと共に涙が溢れだす。




「蒼兎……」




呼んでもいないのは分かってる。
でも、名前を呼ぶだけでも少し落ち着くから。




中途半端な自分が嫌だ。




あんな朔夜なんか知らない。
蒼兎には悪いからなんとかしたい。
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