蒼い月と紅の灯火

【朔夜side】




『自由にしてなよ』




俺のその言葉に動揺しながら座る朱里。
自由、といったんだが、動かない。




(そりゃ、動けないわな)




あれだけちょっかいをかけたのに嫌う素振りを見せない朱里。それが中々辛いんだけれども……。




そんな苦労を朱里は知るよしもない。




まるで借りてきた猫のように微動だにしない。




「好きにしていいんだぞ」




「言われてもしたいことなんてない」
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