蒼い月と紅の灯火
ふと、朱里に言ったことを思い出した。
『ほら! 蒼兎は男の子、俺は男』
「そうだな、度胸……だ」
「朔夜……?」
何かを察して焦りだす朱里。
気付いたときにはもう遅く、俺に押し倒される形になっていた。
細く華奢な身体。
力で何かをするには簡単なものだった。
「力じゃ俺には敵わないよ」
「やめて!」
「こんなことしてくるやつがそう言ってやめてくれると思うんだ?」
瞳は潤んで今にも泣き出しそうだった。