蒼い月と紅の灯火
「そっか……」
「朔夜さん。里でもありがとうございました」
「!?」
紫の瞳は驚愕で見開き、動揺で揺らいでいた。
「思い出しました。蒼兎の瞳をみて」
「蒼兎の、か」
「人間にバレた銀髪の子供って蒼兎の事ですよね?」
「ん、まずは座ろうか」
朔夜さんに促されて座る。
向かい合うように座ったからか緊張する。
「まぁ、そうだなぁ」
何処か遠くを見るように朔夜さんはつぶやく。
悲しそうな顔で。
そして、辛そうに、切なそうに。
悔しそうに。
「朔夜さん……?」
「気付かれたし、思い出しちゃったもんなぁ、朱里ちゃん。もう、話すしかないよなぁ」
「あ、あの……」
「本当は蒼兎からのがいいんだろうけど」
「そう、ですよね」
「まぁね、でも、今話すべきだと思うから俺が話すよ」