蒼い月と紅の灯火
だから、行き倒れた朱里ちゃんを見つけたとき血相を変えて助けたんだ。
いきなり呼ばれたから何かと思えば、桜さんの娘を拾ったなんて、心臓が止まるかと思った。
まだ朱里ちゃんの年齢は里を出る歳じゃない。
となると、里に何かがあったということ。
集落の知らせは直ぐに耳に入った。
妖狐の里が一つ滅んだと。
「蒼兎の性格だ、まぁ、あとは分かるよな?」
「罪悪感から私を助けた。そして、その罪悪感からわたしを避けている」
「そう、自分といるのは不幸になるってな」
「そんなこと……!」
「朱里ちゃんは思わないだろうな」
この子はもう、囚われていない。
そして、蒼兎を救えるのはこの子だけだから。
「兄貴なのに弟助けられないなんて、わらっちまうよな」
「そんなことありませんよ。尽くしてきたじゃないですか。胸を張ってください」
「やっぱり朱里ちゃんはあの二人の娘だね、あー癒される」