蒼い月と紅の灯火
【朱里side】
やっと分かった。
これで突っ込んでいける。
さっきから朔夜さんがニヤニヤしてて気持ち悪いけれど一応気にしないでいる。
「行くって言っても何処に?」
「ん? 町から近いとこだよ」
そんなところに妖狐の仲間は住んでいたのか。
普通に驚いた。
だって、人間は愚か、妖狐同士も関わることは少ないから。
「さぁ! 善は急げ! 行くぞ朱里ちゃん」
「急がば回れもありますけどね」
二人で町の方に走る。
朔夜さんは私の足の速さを知っているから加減もせずに前を走っていく。
「朔夜さん! どうやって止めるんですか!」
「知らん! あと昔みたいに朔夜って呼んでよ!」
今!?
どういう神経をしているんだこの人は。
この一大事に。
「朔夜!」
「良くできました! ほら、あそこ!」
「嘘……!」