God bless you!~第11話「ヒデキとハルミ」
★★★右川ですが……バチボコ迷惑だよ
〝受験対策 受かる!現代文 実例集。問題集付き〟
黒川がこんな本をくれた。
マジ、ありがた迷惑。暑苦しさが倍増の予感。
どういうつもりか知らないけど、1か月のお付き合い(とか言うのも、もうど~でも)を経て、まさかと思うけど、より親しくなった気でいるとか。
だとしたら、ありがた迷惑を通り越して、バチボコ迷惑だよ。
冊子を開くと、難しい漢字のオンパレードだった。これを読むために漢字の意味まで調べないといけない。
クソ地獄。
辞書は英語だけでもう、お腹一杯。「いらない」とすっきり返した。
黒川は、「ったく何だよ」と悪態をついた。「金返せ」と聞こえた気も。
「沢村とはどうなの?」と、ついでのように聞かれて、正直に、「ちゃんと、真面目に、付き合ってるよ」と伝えた。
ちゃんと、言ったぞ~と沢村を見ると、爆睡中。永田に頭を突かれても、ビクともしない。全然ちゃんと聞いてねえよ。地獄だワ。ほんと報われない。
休憩時間。
今日も現国のアキラに呼び出され、課題を受け取り、あたしは職員室を出た。アキラはいつも大量に宿題をくれるんだけど、このペースははっきり言ってキツい。全部は無理。これも、地獄だ。
いつも、同じクラスのヨリコと一緒に来る。
ヨリコも同じように小論文をやっているから。
見ると、あたしと同じくらいたくさん課題を出されていた。なのに、いつもきちんと全部やってくるから、すげーよな。それな。
「右川も、進藤を見習って真面目にやれよ。こればっかりは沢村も手伝えないぞ」
アキラは笑って突き刺した。こっちも頭を刺してやろうかと思うけど、頭の寒いアキラだ。気の毒だから我慢するか。
そのアキラの添削が終わって、ヨリコと2人、教室に戻ってきた。
そこに海川が来た。
「昨日のアメトーーク最高!」
そんな話でヨリコと3人盛り上がる。海川の席はあたしのすぐ後ろだ。
ヨリコは隣り。仲良しトライアングル、出来上がり。松倉だけが、クラスを離れてしまった。それも、ちょっとだけ地獄かもしれないな。
海川は修道院の推薦が欲しかった。それが誰かの転びでちゃっかり手に入ったらしく、喜んでいる。沢村かな、と思った。ここでは言わなかったけど。
その修道院大学。この秋の学園祭に話題が飛んだ。
今年は〝コレサワ〟がくるらしいと海川が言う。
彼女の歌はストレートな女子ゴコロが満載だ。アニメのMVが可愛くって。
「「それ行きたい!神さま!」」と、ヨリコと盛り上がった。
3人共、志望校は同じ修道院という事もあって、「だったら一緒に見に行こうよ」とそんな事まで話は弾んだ。ランチをどうするか、お菓子を買って♪もうちょっと遠くまで出かけてみようか、話題は尽きない。
思えばアキちゃん一筋だった頃は、友達との色々は2の次。どれもこれも断り続けた。ここにきてようやく友達らしい事が楽しめるようになっている。
「白石麻衣が来ないかな」と、海川の口元がニヤける。
さっきまで、広瀬アリスがいいとか言ってたくせに。
「あんたのタイプじゃないでしょ。どっちも全然巨乳じゃないじゃん」
おっぱい関係の話題は、海川の大好物だ。
ヨリコと2人、パンチの挟み撃ちで、つついてやる。
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