エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
おずおず廊下に出て行くと、社長にさっそくじろりと睨まれる。それから品定めするようにじっくり、上から下まで眺められ、冷や汗が全身を伝った。
こ、怖い……。
「社内で見かけたことがあるな」
低い声でぼそりと呟いた社長に、慌てて頭を下げ自己紹介をした。
「きっ、機能性食品部の汐月と申します……」
「……そうか。ま、今日のところはいいだろう。私も忙しいんでね」
あ……あれ? なんか色々と罵倒されたりするかと思ってひやひやしてたんだけど……。
私は社長のあっさりした反応に、拍子抜けした。
「それじゃ、失礼するよ」
そのまま踵を返した社長の後ろ姿を、私はぽかんと見つめる。
「もっと怒られると思いました……」
思わず本音を呟いて、安堵の息を漏らす。けれど、一誠さんの反応がない。
ちらっと長身を見上げると、彼は顎に手を当てて、難しい顔で何か考え込んでいた。
「一誠さん?」
「……あ、ああ。そろそろ行こうか」