エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「彼氏に、浮気されたんです。……私とじゃなくて、浮気相手のほうとが社内恋愛でした」
気づいた時にはもう、苦い過去の思い出を、彼に吐き出している自分がいた。
カクテルグラスの脚を両手で包み込み、その赤い液面に、記憶の断片をひとつひとつ映し出していく。
「巴も、同じ会社でいいひと見つけたら、とか、余計なことまで言われて……」
「……なるほど。そんなことがあったんですか」
「私だって、そりゃ寂しいこともあったけど、大人だから、我慢するじゃないですか……」
「うん。そうだね」
部長は必要以上に口を挟むことなく、ただ、相槌を打ってくれているだけ。
けれど、視線や表情から“ちゃんと聞いているよ”というのが伝わってきて、私はとうとう、心の奥に眠っていた気持ちをすべて吐き出した。
「もっと、わがまま言ったらよかったのかな……会いたいときは会いたいって、泣いてもよかったのかなって……後悔、ばっかりしてるんです。よかれと思ってしていたことが、全部裏目に出てたんですもん。そう思ったら、やりきれなくて……」