エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
……そう。私は、元カレの前で、かなり理解ある大人の女のふりをしていた。
本当は、見えない彼の仕事のこと、すれ違う生活にやきもきすることもあったのに、うっとうしいと思われたくなくて、全部飲み込んでいた。
“お互い違う会社で、違う仕事をしているんだもの、分かり合えない部分があって当然だよね――”
そんな風に自分に言い聞かせて物分かりよく接していたら、逆に彼を不安にさせてもらったらしく、結果最悪の結末を迎えてしまった。
「別に、社内恋愛=悪じゃないことはわかってます。けど、前回の恋の終わりをこんな風に引きずってるから、会社でそんなことする気になんか、全然ならないし……これからもきっとなりませ……」
そのとき、グラスの脚に添えていた私の手に、大きな手が重ねられた。
ドキッとして、視線を上にずらすと、今度は部長の真剣な瞳にとらわれ、身動きができなくなって。
「――――っ、ン」
次の瞬間、唇に触れた、柔らかい熱。それが部長の唇だと気づくのに、数秒の時間がかかった。
え。キ、ス……? ななな、なんで、部長が私に、キスなんか……!