エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「……悪くないですよ、社内恋愛も」
唇を離しても、まだ息のかかる距離にある、濡れた唇がささやく。
「え……?」
キスの余韻で頭が働かず、目を瞬かせることしかできない私に、部長が提案した。
「そうだ。シミュレーション、してみましょうか。僕と、社内恋愛の」
「し、シミュレー、ション……?」
「ええ。恋人として振る舞うんです。期間はそうだな……ひと月くらい」
ひと月のあいだ、部長と恋人同士に……?
酔っているのと、キスでくらくらとしている頭のせいで一瞬、“悪くない”と思いかけたけど、すぐに我に返ってぶんぶん首を振る。
いやいや、今、いったいどういう話の流れでそうなったの……!?
「なっ、なんなんですかそれ……。お互いにとって何のメリットが?」
「そうだな……次の恋愛に踏み出す前に、きみにはリハビリが必要だと思うんです。本当に好きな相手ではない練習台、つまり僕に、思う存分わがままを言ってみるとか、素直になる訓練をするんです。そのリハビリを終えたころには、社内恋愛への過度な偏見もなくなり、身近な人と新しい恋ができるかもしれません。つまり、きみにはメリットづくめというわけです」