エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「……リハビリ」
突拍子のない話の中で、その言葉はだけはなぜか、すんなりと胸に落ち着いた。
次の恋なんてまだまだ先のことだと思うけど、前回の失敗を繰り返さないようにと思いながら、恋人になってくれた人を実験台みたいにするのは気が引ける。
その点、部長は恋人でもなければ好きな相手でもない。その上彼自身が女性扱いにも慣れている。だから適任……ってこと?
なんだか騙されているような気がしないでもないけど……。
「ちなみに、部長側のメリットは?」
「……秘密です」
私の探るような視線をかわし、悪戯っぽく笑った彼は、人差し指を唇の前に立てた。
「え! ずるいですそんなの!」
「いいじゃないですか。どちらにしろ、ひと月だけの関係です。お互い気負わず、楽しめばいいんです」
うーん……。そんな軽く考えていいものなの? つまりは、“遊び”で“偽り”の関係ってことだよね?
そんな不謹慎な男女関係、ありなの? ……ちょっと一人でゆっくり考えたい。
「あの、お手洗いに行ってきます」
部長の隣にいたら、正常な判断が下せない気がする。ここはひとつトイレにでもこもって、熟考させてもらおう……。