エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~

「どうしたの、そんなに急いで。仕事で何かあった?」

「いえ、仕事は、全然、関係なくて……」

仕事じゃない。それを聞いてほっとする。そして、呼吸を整えながら一生懸命喋る成田くんは、やっぱり可愛らしい。

口に出すとまたしょんぼりさせてしまいそうだから、言わないけれど。

「そっか……じゃあ、私になんのご用かな?」

「あの……俺と、食事、行きませんか?」

姿勢を正し、改まって私を見つめてくる彼。私は一瞬、何を言われたのかわからなかった。

「え? 成田くんと?」

「はい。ダメ……ですか? ずっと誘いたかったんですけど、平日はご迷惑かなって遠慮してて……でも金曜日なら……と思ったんですけど」

成田くんが、いじらしいほど純粋な瞳で訴えかけてくる。

うう、可愛い……そして断りづらい……。露子にも誘われたけど、なんで今日に限って、私こんなにモテるんだろ。

いやでも、成田くんは“ずっと誘いたかった”って……ん? それって、どういう意味?

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