エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
「なにか、相談事……?」
まだ入社して間もない彼だから、仕事上の悩みがあるのかも。だったら、相談には乗ってあげたいけど……。
「……まぁ、そう……ですね。仕事では、ないですけど……」
「仕事じゃない?」
「……恋愛相談。って言ったら、引きますか?」
「えっ」
れ、恋愛相談!? そんな相談、想定外すぎる……! というか、私じゃ絶対役に立てない!
でも、ここで断ったら本当に成田くんに“引いた”みたいにならない……? あああ、どうしよう……。
頭の中がパニックに陥って、対応に困っていたそのとき。
「――その相談。僕が乗りましょうか?」
ビルの方から、低く透き通った声がした。成田くんとともに驚いて振り向いた先には、仕事を終えたらしくビジネスバッグを手にした部長の姿。
あれっ。時間をずらしてレストランに向かう予定だったのに、部長出てくるの早くない……?
少しの疑問を抱きつつも、第三者の登場に張り詰めていた気持ちが緩んだ。