エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
平和な朝ご飯を終えたころ、またしても部長の携帯に電話がかかってきた。
その時私は洗い物をしていたけれど、狭い部屋の中なので、部長の話し声は聞こえていた。
「今夜ですか? 構いませんが……仕事のことなんですよね?」
なんとなく、朝の電話のときと同じで、声にかすかな苛立ちがあった。朝の相手には『二度と掛けてこないでください』と言っていたから、また別の人なんだろうけど。
「それは脅しているつもりでしょうか。……生憎僕は、社長になれるという事実に全くこだわってはいませんが」
……えっ。部長が、社長になる……?
突然飛び出したその言葉が気になり、部長の方を思わず振り向いてしまう。しかし彼は窓辺にいて、外を見ながら話しているから、表情が見えない。
そりゃ部長は確かに仕事の出来る人だし順調に出世もしているけど、いきなり社長になるなんて、あり得ない話だよね……。いったい、誰と何の話を?
「やっぱり、百合(ゆり)の差し金なんですね? ……まあいいです。今夜お会いして、直接お話しさせていただきます。ええ。……失礼します」