エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
そう平然と言われてしまうと、なんだかよくわからなくなってきた。
私も、彼と初めて寝たあの夜は好きだという言葉を使ってしまったけれど、あの時は酔っていたし、心が普通の状態じゃなかったから言えたわけで……。
今みたいに素面の状態の私にとっては、たとえ恋人の振りをしていても、“好き”の二文字は軽々しく口にできるものじゃないという認識だ。
その認識が、部長にとっては違うというだけ? ……でも。
「……なんだか、部長、自分に言い聞かせてるような気がして」
「言い聞かせてる?」
「私のことが好きなんだって……本当は違うけど、そうだったら楽なのに、みたいな……」
自信はないけれど、彼の微妙な声色から感じ取ったことを伝えると、背中に密着している体がほんの少しびくりと震えた。もしかして、私の言ったこと、当たって……。
私は彼の目を見たくなって、おそるおそる首を動かす。けれどその瞬間、首筋に痺れるような痛みが走った。
「痛っ……!」