エリート部長の甘すぎる独占欲~偽装恋愛のはずでしたが!?~
顔に疑問符をいっぱい張り付ける私に一誠さんは“大丈夫”という風に微笑んで、私を庇うように一歩前に出た。
「どうも。ちなみに僕は青柳でなく風間です。そしてこの先も青柳という苗字になる予定はありません。百合の名も出さないで頂けますか? 彼女が気分を害します」
丁寧な口調の裏に、かすかな怒りを滲ませる一誠さん。三人組の女性はちょっとたじろいだけれど、それでも引き下がらなかった。
「ごめんなさいね。でもそれなら風間さん、彼女のこと紹介してくださらないと」
「百合さんの代わりに連れてきたということは、大事な方なのでしょ?」
「とっても可愛らしい方だし、私たちお近づきになりたいわ」
ぐいぐい詰め寄ってくる三人に、一誠さんは隠すこともせず盛大なため息をついた。それから、いきなり私の腰に手を回してぐっと引き寄せる。
え? ちょっと一誠さん、人前で恥ずかしいんですが……!
その時点でかなりドキドキしていたのに、彼はそのまま私の頬にちゅっと口づけてから、彼女たちを見据えて宣言する。
「……彼女は汐月巴。僕が心から愛する、大切な人です」