順番




「和ー、今日飲みに行かない?」



腕を絡めてくるのは受付の女
腕に感じる柔らかい感覚


たぶん、何度か寝た
凹凸のしっかりした身体は悪くなかったけど香水が好みじゃなかったはずだ


セックスはご無沙汰
西野昴が入社してからは全くだ


それでも、今目の前の女を抱く気にはならなかった



「悪い、今日残業なんだ」


女はあっさりと離れて、「またね」と言って軽くキスをした

また、なんてない
触れた唇をそっと拭った


自分が可笑しいのではないかと思うほどに性欲がわからない
抱くなら西野昴しか興味がない


いつまでも禁欲する気はない
そろそろ落とそうか

人より恵まれた容姿から昔から女には不自由はしなかった

フリーの期間は少なかった
学生時代は常に彼女と呼ばれる存在がいた


社会人になれば、恋愛を楽しむよりも色んな女とのセックスを楽しんだ


西野昴は20歳だ
俺は25歳
5歳の歳の差なんて知れてる


彼女は何人の男に抱かれたのだろうか
もしかして、処女だろうか?


あの綺麗な顔に女の艶が浮かぶときどうなるのか


乱れた姿がみたい
もう、限界だった



西野昴が入社して三ヶ月
俺の禁欲も三ヶ月
彼女に惚れて三ヶ月




「西野昴」

「はい、あ、木谷部長、お疲れ様です」



時間がある時を見計らって声を掛けた

振り返り、俺の姿を確認して丁寧にお辞儀をする姿は好感が持てる



「少し資料を探すのを手伝ってくれないか?」







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