さようなら、初めまして。

【やっぱり、なんか運命だよ。凄い、引き合ってる気がする】

偶然が重なると、思いがちだけど、…そういう考え方は、もう…したくない。

【そんなんじゃないから。アキちゃんは乙女ね】

【そうかな~。でも、中々無いことがあるとそう思いがちだよ。男女の出会いの偶然なんだから。女なら思っちゃうでしょ】

そう、普通、そう思って、ちょっとときめいたりしてしまう。それが普通だと思う。
私もそうだったし、あれは運命だと、信じて疑わなかった。悠人と会った時…。
…悠人。きっと、これからずっと人生を共にする人だって。そんな気に…勝手になってた。
でも、それは、違う運命が待っていた。
よく解らないままの終わりは、それが終わりだって思う事も…まだ完全には咀嚼できてないまま…。

【お礼にご飯て言ったら、いくらくらいが妥当かな】

【ご飯に行くの?】

【うん。最初からご飯に行こうって事だったから、だから、支払いは私がしようと思ってるの】

【なるほど。じゃあ、お店、もう決めてあるかも知れないじゃん。正直に言って払っちゃえば?きっと、いいよって言われちゃうだろうけど】

【そうよね。じゃあ何か、しないと】

【え、でも、靴下のお礼の靴下は渡したんでしょ?渡さなかったの?】

【渡したけど、また、助けられたの】

【また?また、足つっこんだの?もう、何してるの】

【違うー!流石に嵌まるような靴じゃなかったじゃん。恐い人っていうか、男の人にしつこく誘われて…そしたら、そこに。偶然だったの】

【え?それ、私が帰った後の事よね】

【うん、一人になった途端、…恐かったよ】

【ほら、だから、遅くまでは危ないって、身に沁みて解ったでしょ】

【うん、アキちゃんの言う通りだった】

【まあ、会えたからそれが結果オーライだった訳だけどね。また救世主じゃん】

【うん、だから、お礼、しなくちゃ】

【私に連絡するのを忘れてたなんて。…ははぁ~ん】

【え、何?】

【何でもない。また聞かせて?】

【あ、うん】
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