さようなら、初めまして。
【アキちゃん。なんか変】

【ん?どうしたの?何かあったの?】

【私が変なのかな】

【もう、何が?あー、もう、まどろっこしい。もう帰ってるの?】

【うん】

【じゃあ、ジンさんと何かあったの?変て何?】

【うん。それがよく解らない。でも、一々、合致する事があって】

【何に?】

【…悠人と】

…。

【電話に変えていい?】

【うん】

RRRR…。

「はい」

「聞いてもいい?どんな事が一々なの?」

「…うん」

「逢生?」

「うん…。会ってるとね、話す事の一部が同じだったり、する事も。でも、…でもね、冷静に考えたらジンさんに限らず、誰だって言う言葉だし、する事だし、特別な事ではないかも知れないの。…はぁ、どうしてだろ…」

「逢生?」

「うち…」

「ん?」

「部屋も、場所、知ってたようにも思えてきて」

…。

「逢生?…最近、悠人君の事、考えた?」

「え?あ、んー、どっちが先か解んなくなっちゃったけど…。ジンさんの事をね、百子さんが、悠人と間違えたりしたのもあって…。それで悠人の事、考えて思い出していたから。だから…かな。それまでだって全く考えない日があった訳じゃないから。
なんかね、ピンポイントで言われた事と同じ事を同じ言葉で言うのジンさん…」

「それは偶然よって、私が言ったとしても、今の逢生は腑に落ちてくれないよね」

「…うん」

「疑問っていうか、もう、引っ掛かってるんだもんね」

「う、ん。全然、違う人なんだよ?」

「うん、それは解ってるよ?…だって悠人君は」

「…うん」

「例えば…もしジンさんが悠人君と知り合いだとしても、逢生との事、全て話してあって、一言一句間違わないように記憶したとして、それをその通りに話したり、実行したりする必要はあるの?って話よ。そんな事するくらいなら、まあ、それもおかしな行動だけど、単純に知り合いだって言うでしょ?隠す必要はないと思うし」

…知り合いなら…何か言いたくて近づいて来たって。そんな…何か有り気な出会いなんて…違うと思う…深読みするのも大概だ。

「そう思うと、すんごい確率で、感性とか感覚が同じ人?凄く似た近い人?って事になるんじゃない?」

「…う、ん」

「そんな人、居ない事もないと思えばね。居るには居ると思うよ?会う確率も低いとしても確率はあるんだし。ねえ、また会うの?」

「え、あ、うん。明日…」

「え、明日?も?もう?」

「うん」

「ねえ、そっれて何?なんか言われてるの?好きとか」

「え?ううん。違う、言われてない」

…。

「言われては無いけど会うのは会うんだ」

「決めてたみたいなとこがあった。時間がない、のかな」

なんか、そんな…どういう風にとるのがいいのか解らない事が多い…。

「…今日行ったお店もね、悠人と行った店だった。行けたらいいなって思ってたとこだった。あ、でも、それも、店は店だよね。特に拘って考えなきゃ、誰だって行くお店だもんね。それを私が意味のあるモノにこじつけてるだけかも知れないし」

「逢生、あんたね……。そうだよ。誰もが行きそうなお店って事だよ。逢生?しっかりして。取り敢えず、ジンさんはジンさんだよ。…悠人君じゃない」

「うん、解ってる」

「本当に解ってる?悠人君は約束に来なかった。だからもう居ないんだからね。終わったんだよ」

「うん」

解ってる、悠人はもう居ない。……事にした。
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