さようなら、初めまして。
「え?」
…あっ!
「あ、いや、えっと、こんなに濡れてしまってはこれからどこかにって、ちょっと。だから、うち、まあまあ近いじゃないですか、だから、服を乾かした方がいいと思って。このままではジンさん、風邪をひいてしまいます、…多分」
…。
「あの」
そうした方がいいと思ったけど、……これは、軽率な発言になるのかな。でも、そういう事、気にしてる状況ではないと思う。だって、濡れてるんだから。
「俺…お邪魔して…大丈夫なのか?」
「はい。あ、うち、お風呂、ちょっとレトロですけど、シャワーもちゃんとあるんです。お湯、直ぐ出ますから。あ、部屋、外観は見て知ってますよね?あんな感じですけど、シャワー、あるんです。それに、家電はレトロって訳じゃないから、洗濯板で洗って絞ってとかじゃなくて、洗濯機だって乾燥機もあります、大丈夫です。…はい」
お店の軒下で傘を差しかけた。
「あ。ハハハ。…洗濯板って」
「あ゙ー、手洗いで、汚れの強い物があれば…小さい板、それ用にはありますけど。あの、行きましょう。寒い雨です、冷えてしまいます。早い方がいいと思います。本当に、風邪、ひいてしまいます、だから」
「…じゃあ、…行くよ?…いい?」
「はい。では急ぎましょう、走りましょう」
「あ、お、うん」
周りを見て駆け出した。折りたたみ傘は小さいし、頼りない。走ると揺れて…差してないと変わらないみたいに雨が当たった。
「濡れてる!」
あ。傘の柄を掴まれた。私の手の上からしっかり握られ、肩を掴まれ寄せられた。
殆ど私だけが傘に入った。
「…あの、これじゃ、私ばっかり。大丈夫ですよ」
傾け返した。ドキドキした。
「俺は元々濡れてる。だからいいんだ」
あ、腰に腕を回され、更に傘を差し掛けられた。駆け足が速くなった。
「あ、キャー!」
「うおっ!」
突風が吹いた。傘は煽られ無惨に捲れ上がってしまった。
「あっ」
…フフ。
「ハハ、あーもうこれ、駄目だな…。差してる意味がない、これじゃあ…無駄なモノを持ってるだけだな…」
「はい、しまいましょう。フフフ…風って凄い力。…もうビショビショ…」
「ああ、ハハハ、諦めよう」
柄を差し込み、畳んだ。もう、使えないかもだ。こんな事をしている間も雨は容赦なく降ってる。あっという間にずぶ濡れだ。
「話してる場合じゃないな。おし。本気で走るぞ!」
「え?あ、はい!」
手を繋ぐと駆け出した。ジンさんが速くて引っ張られるように走った。
大粒の雨が顔を打ち付けた。
…あっ!
「あ、いや、えっと、こんなに濡れてしまってはこれからどこかにって、ちょっと。だから、うち、まあまあ近いじゃないですか、だから、服を乾かした方がいいと思って。このままではジンさん、風邪をひいてしまいます、…多分」
…。
「あの」
そうした方がいいと思ったけど、……これは、軽率な発言になるのかな。でも、そういう事、気にしてる状況ではないと思う。だって、濡れてるんだから。
「俺…お邪魔して…大丈夫なのか?」
「はい。あ、うち、お風呂、ちょっとレトロですけど、シャワーもちゃんとあるんです。お湯、直ぐ出ますから。あ、部屋、外観は見て知ってますよね?あんな感じですけど、シャワー、あるんです。それに、家電はレトロって訳じゃないから、洗濯板で洗って絞ってとかじゃなくて、洗濯機だって乾燥機もあります、大丈夫です。…はい」
お店の軒下で傘を差しかけた。
「あ。ハハハ。…洗濯板って」
「あ゙ー、手洗いで、汚れの強い物があれば…小さい板、それ用にはありますけど。あの、行きましょう。寒い雨です、冷えてしまいます。早い方がいいと思います。本当に、風邪、ひいてしまいます、だから」
「…じゃあ、…行くよ?…いい?」
「はい。では急ぎましょう、走りましょう」
「あ、お、うん」
周りを見て駆け出した。折りたたみ傘は小さいし、頼りない。走ると揺れて…差してないと変わらないみたいに雨が当たった。
「濡れてる!」
あ。傘の柄を掴まれた。私の手の上からしっかり握られ、肩を掴まれ寄せられた。
殆ど私だけが傘に入った。
「…あの、これじゃ、私ばっかり。大丈夫ですよ」
傾け返した。ドキドキした。
「俺は元々濡れてる。だからいいんだ」
あ、腰に腕を回され、更に傘を差し掛けられた。駆け足が速くなった。
「あ、キャー!」
「うおっ!」
突風が吹いた。傘は煽られ無惨に捲れ上がってしまった。
「あっ」
…フフ。
「ハハ、あーもうこれ、駄目だな…。差してる意味がない、これじゃあ…無駄なモノを持ってるだけだな…」
「はい、しまいましょう。フフフ…風って凄い力。…もうビショビショ…」
「ああ、ハハハ、諦めよう」
柄を差し込み、畳んだ。もう、使えないかもだ。こんな事をしている間も雨は容赦なく降ってる。あっという間にずぶ濡れだ。
「話してる場合じゃないな。おし。本気で走るぞ!」
「え?あ、はい!」
手を繋ぐと駆け出した。ジンさんが速くて引っ張られるように走った。
大粒の雨が顔を打ち付けた。