さようなら、初めまして。
「あの…具合が悪いとかではなくて……私、つき合っていた人が居ました。でも、今は居ません。
あの…こんな言い方をしたら、気を悪くされるかも知れませんが。ジンさんは……その人の、話す事、話し方というか、場面場面での言葉…よく似てて。それと、こうして来るお店、どこも同じなんです。だから…私。つい、会う度、考え込んでしまうようになってきて。普通に偶然ってあると思うし、似たような言葉遣いになる事もない事じゃないし。私が意識して考えなければ、何でも無いことで…。でも。
ジンさんと会ってると、思い出してしまって、はる…気がついたら、その人の事を重ねて考えてしまってるんです。…違うんだって…、似てると思い込んでも、違う人だって解ってるんですけど。
今日の、このお店だって…。来た事があるお店で。…その人と。…偶然だとは思ってるんです。でも、どうしてって、思ってしまう程、…お店で話す事もやっぱり同じで。…どうして、どうしてって、思う事、…それって失礼な事でもあるし。でも、凄く不思議で…。だから、黙りこんだり、上の空みたいになったりしてしまって。ごめんなさい…私の勝手な思いで。こんなの気分悪いですよね……ごめんなさい」

「食べよう？」

「え…」

「冷めちゃうからさ、食べよう。温かいのも美味しさの内だ」

「あ、はい…」

何でもない、くらいの事なのかな……。何も聞いてこないって…気を悪くさせちゃったかな。関係性は別としても、勝手に似てるって思って、こうして一緒に居て、違う人の事ばかり考えてたって知ったら、感じ悪いのなにものでもない…。

「…似てる？今でも好きなんだね。…忘れられないくらいに」

「え？」

「そんなに似てる？」

……あ。話さないんじゃないんだ。正面から、もの凄く真面目な顔が見つめていた。

「俺、未来をもらったんだ」

……え？…未来？…何の話？
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