さようなら、初めまして。
「あ、写真は?」

首を振った。

「そうだよな。でも、警察…、警察に訪ねてはみなかったのか」

「はい。…身内じゃないし、名前だけで何かを教えてはくれないと思って…」

最初から無理だと思って、何もかも…脱け殻になっていた。

「住まいとか、やっぱり個人情報とか言って、無理なのかな。それ…区役所とかも、同じだよな、無理か…」

「…だと…思います」

好きだったのに、出来る限りの努力はしてみなかったのかって、改めて言われてる気がした。

「ごめん、死亡記事とか、ごめん、新聞の事故の記事とか…」

首を振った。

「…ん。まあ、死んだと決めつけるのもな……ごめん、死んだとか」

…。構わない…。それは私もそうじゃないかって思ってる事だから。

「……帰ろうか。送って行くよ」

「ここで…大丈夫です」

…。

「気まずいかも知れないけど送る。さっきみたいな奴がどこに居るかも解らないから。時間だって今の方が余計危ない」

…。

「帰ろう」

「はい…すみません」

「そんな風に謝らないで欲しい」

「はい、ごめんなさい…」

「ふぅ、…うん」

「…ごめんなさい、本当に…」

「いいから」

「はい」

「はいじゃなくて、うんでいいから」

「…うん」

「うん。はぁ、警察にツテでもあったらなぁ。行方くらい解るのにな」

それは私も思った。安否だけでも解るのにって。
私が無知なだけで…、調べる手段はあるのかも知れないけど…。SNSとか。…探偵とか、お金があるならだけど…。
どうしても知りたい、捜したい、そのくらい思ってるなら、借金してでも依頼するんじゃないかな…私はそこまでしてない…。
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