さようなら、初めまして。
「お、大丈夫か」

「…は、い、いいえ、はい。ごめんなさい。あ」

腰が…、抜けた…。腕を掴まれ支えられた。…恥ずかしい。

「大丈夫か?こんな時間に、一人でこんな…中途半端な場所に立ってたら勘違いされる。大丈夫か?立てるか?」

…。

「無理か」

「…放っておいてくれていいですから」

…。

「は、バカ野郎…。またそんな事言って。今…、たった今、恐い目に遭ったばっかりじゃないか。それとも俺のお節介だったのか?違うよな?今のは迷惑な誘いだったんだろ?」

「でも、だって。……恐い…」

「はあ?だったらだろ。何、支離滅裂な事…。落ち着け、もう大丈夫だ。まだ恐いのか?
あのな…放っておいてってな…、放っておけないだろ、まともに立てもしないのに」

あ。……恐い…。怯えた顔をしていたのだろう。

「あ、ごめん、恐いって俺か。強く言い過ぎたか…。ごめんごめん」

「大、丈夫です。あの、はぁ…良かった…時間は遅くなって、中途半端になったかも知れないけど。…場所は中途半端じゃない…。ここです、ここであってるから、…私…」

「ん?」

「…待ってたんです。…会いたくて、この場所で」

「ぁ…ここ、…俺、か?俺に?」

頷いた。

「…はい。解んないから…何にも解んなかったから、ただここに居てみるしかなくて。会った時と同じ曜日なら会えるかもって、…根拠の無い思い込みで…それで…」

ここに居たんです。

「あ。はぁ、馬鹿だな…何してるんだ。女一人で危ないだろ。今回は何とかなったからいいようなものの、無謀に待ってたっていつも俺は来ないぞ…」

……え?え、え…。

「あ、の…」

「あ、あ゛あ、ごめん。…ごめん」

支えられていた腕がそのまま背中に回され、もう片方の腕も。抱き締められて直ぐ離された。な…びっくりしたぁ…。

「大丈夫です。あ、私、これを…」

焦ってバッグを探った。

「これ、お借りした靴下。それと。…こっちは…こっちも靴下です、これを渡したくて…お礼が言いたくて」

丁寧に手洗いして更に洗濯機で洗濯した靴下。それから、悩みに悩んだ挙げ句に買ったシンプルな靴下。それらを入れていた袋を渡した。

「これを返すために?」

「はい」

はぁ、良かった、渡せた。
< 7 / 91 >

この作品をシェア

pagetop