さようなら、初めまして。
あっ。どうして、……はぁ。会わなくていい人に、何故、会うのか。知らなかっただけで、こういう事があると、今までだって知らない間にすれ違っていたのかな。
「…逢生さん」
「どうも…こんにちは」
もう会わないって言ったのに、仕方ないよね、偶然なんだから。私のせいじゃないもの。
行動範囲を変えないと。スーパーだって、違うお店を開拓しなくちゃ。いつ会うか解らなくなったじゃない。…悠人とのご飯なのかな。
今日は初めて会った時の印象に近い。明るく華やかだ。…当たり前か、結婚するらしいからね。
あ、そうだ…。これを言えばもっと区切りをつけられる。
「おめでとうございます。では、私、急ぐので」
引きつってなかっただろうか。足早になった。
こっちは傷心なのよ…。歩きながらカゴの物を売り場に戻しつつ出口に向かった。
はぁ、まだ、冷静になれないなんて、私はどれだけ子供なんだろうか。祝福は心からするモノよ。今のじゃ…感じ悪い。
「逢生さん」
あ゙。どうして…、追って来るのよ。そっちだって気不味いでしょうに。私は嫌よ、まさか、この際(どんな際)お友達になりましょう、なんて言わないでよね。そんなに割り切れてないから、私。
「おめでとうって、何ですか?」
……はぁ?そんな、無垢な顔で聞かれても。…え?……わざと?
「おめでとうは、おめでとうでしょう?それ以外に、なにか、解らない意味ってないと思いますけど」
嫌みに聞こえた?だから聞き返しに来たの?
そっと入れたつもりだったけど、積み上げられたカゴに戻したカゴが、ガシャンて、大きな音をたてた。