さようなら、初めまして。
ブー。あ。

【私は、もう君には会えないのかな。こんな関係性になっては、つき合う事も難しい、という事だろうか】

今は、それは…考えられない。

【君の彼を怪我させ、騙してまで手に入れた杏梨の兄だから】

…。

【悠人は結婚するつもりだって。それを、終わりました、お返ししますって、言われたんです。私には何が何だか…。
騙していたかも知れないけど、そんな簡単に…。悠人の気持ちはどうなるんですか。身元を隠されていた事を知らなくて、一緒に暮らして、親切にされ、面倒をみてもらって、記憶のない内に好きだと言われ、記憶が戻っても、妹さんとそのまま居る事を選んで】

…あ。ジンさんに捲し立てても。…仕方ないのに。

【私は妹が許せなかったんだ。人の人生を軽く見てる、重さも解らない我が儘が許せなかった。解っていればそんな事はさせなかった。きちんとした対応をしていたら、君達が離れる事はなかったはずだ】

【それは、こうなったのも、それも運命だって、二人の仲を聞いた時、思う事にしたんです。それも、妹さんにとったら、運命的な出会いだと思ったでしょうから。
悠人との事は、諦めるように考えるしかない、どんな事だって、もう、そういう考え方しか出来ない頭になってて…。振り回されるのも、もう…。事故の連絡が私に来ていたとして、今、悠人と私が別れてないかどうかも、つき合いの中では解らない事でもあります】

【今の、君の気持ちはどうなの?悠人君は、フリーになったんだ】

…。

【忘れると言っても、私の言動に悠人君を重ねる程思っていたんだ。彼は生きていたんだよ、思いはつのるだろ】

…。

【ずっと忘れようとしていたんです。そして終わりにしたんです。気持ちは終わらせないと仕方ないって決めたんです。
だったらって、そんなに…、今度は、好きって、そんな風には…無理です】

【確かに。今の君をそっとしておくべきだと思う】
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