さようなら、初めまして。
「相場がどのくらいか調べてみないと解らないのですが、今の家賃より高くして…少しでも高くして頂くというのなら、住みます」
無理は出来ないけど、格安のままで良いわけがない。
「う~ん、それでは交渉決裂という事になるかな。今と同じでなければここには住めません」
「あ、そうおっしゃるのは…」
その言い方…私に遠慮せず住んで欲しいと言ってくれていると取るべきだと思う。…でも、でもだ。
「高給取りという訳ではありませんが、出来る限りお支払いします。そうでないと…」
よっこい、しょ、という聞き慣れた声が聞こえてきた。
「逢生ちゃん、先に来て待ってましたよ。残念だったでしょ?隣が、こんなおじさんまで居る部屋になるなら無理って、はっきり言っていいのよ?」
あ。百子さん。
「…おふくろ」
「そんな…違います」
そういうことではないって百子さんだって解って言ってる。
「逢生ちゃん」
「…はい」
側にゆっくり歩いて来た百子さんに両手を取られた。
「勝手にこんな、押し付けるような事をしてごめんなさいね。駄目?気に入らない?」
「そんな…そんな事ないです。凄いです。外観とのギャップ、更に面白い部屋になってます。ベランダだって庭みたいになってて」
「…そう。だったらいいじゃない、ね。ここも今まで通り、好きに弄っていいのよ?今のところから生活圏は変わるけど不自由ないかしら、会社とか、遠くなっちゃう?」
丁度同じくらいの反対側になる。だから遠くはならない。…あ、場所が変わるって事は買い物してた店も必然的に変わる。…偶然…会いたくない人に会う事も、確率は下がる。何だかそういうこと、それも、百子さんなら抜かりなく配慮してくれたんじゃないかなって、思ってしまう。
「ならないです。でも」
「私が約束を破るのだから、現状のままにするのは当たり前の事よ。替わってもらうのが申し訳ないのよ…ごめんなさいね、逢生ちゃん」
「百子さん…」
「払うつもりだっていう上乗せ分は自分の為に貯金なりするといいわ。ね、お願いよ、逢生ちゃん。嫌でないのなら、住んで?引っ越しもこちらでもちますから、こちらの責任なんですからね、ね?逢生ちゃんが言うべき言葉は、遠慮したり気を遣う言葉ではないの。私が聞きたいのはね逢生ちゃん…百子さん、おはようございます、百子さん、ただいま、なのよ。いいわよね?」
「逢生さん、プレゼンが下手な私からも、お願いします」
こんなに望んでもらってる私は…なんて幸せ者なんだろう。断ることはできない。家賃の事はまた改めて話すことにして、取り敢えず…。
「…はい、お世話になります」
「はい、こちらこそ、ホホホ。今度は息子共々ですね」
「あ、はい。隣の結木です。よろしくお願いします」
「有り難う、いやぁホッとしたー。こちらこそ、お願いしますね、逢生ちゃん」
「あら、いやだ、調子にのって。貴方が逢生ちゃんて呼んでいいかは、まだ許してないわよ?奏介、バツイチ独身…、もうずっと仕事人間になってしまったの。人間不信…ずっと昔にね、離婚したのよ。こんなおじさんじゃなく、うんと若い時にね。会わない約束だけど物心もつかない小さい時に別れた娘が居るのよ。新しいお父さんも居るの」
「百子さん、私なら何でも…逢生ちゃんでも何でも大丈夫ですから」
息子さんはとても気の優しい人そうだ。娘さんて、やっぱり会いたいだろうな。もう、大きな…お嬢さんになってるだろう。はぁ、それにしてもとんでもない人格者に私は出会っていたと改めて思った。
「私を押し付けちゃってごめんなさいね」
「はい!」
「まあ…ホホ。逢生ちゃん、いいお返事、そうよそうよ、そういう感じ、お上手よ。ホッホッホ」
無理は出来ないけど、格安のままで良いわけがない。
「う~ん、それでは交渉決裂という事になるかな。今と同じでなければここには住めません」
「あ、そうおっしゃるのは…」
その言い方…私に遠慮せず住んで欲しいと言ってくれていると取るべきだと思う。…でも、でもだ。
「高給取りという訳ではありませんが、出来る限りお支払いします。そうでないと…」
よっこい、しょ、という聞き慣れた声が聞こえてきた。
「逢生ちゃん、先に来て待ってましたよ。残念だったでしょ?隣が、こんなおじさんまで居る部屋になるなら無理って、はっきり言っていいのよ?」
あ。百子さん。
「…おふくろ」
「そんな…違います」
そういうことではないって百子さんだって解って言ってる。
「逢生ちゃん」
「…はい」
側にゆっくり歩いて来た百子さんに両手を取られた。
「勝手にこんな、押し付けるような事をしてごめんなさいね。駄目?気に入らない?」
「そんな…そんな事ないです。凄いです。外観とのギャップ、更に面白い部屋になってます。ベランダだって庭みたいになってて」
「…そう。だったらいいじゃない、ね。ここも今まで通り、好きに弄っていいのよ?今のところから生活圏は変わるけど不自由ないかしら、会社とか、遠くなっちゃう?」
丁度同じくらいの反対側になる。だから遠くはならない。…あ、場所が変わるって事は買い物してた店も必然的に変わる。…偶然…会いたくない人に会う事も、確率は下がる。何だかそういうこと、それも、百子さんなら抜かりなく配慮してくれたんじゃないかなって、思ってしまう。
「ならないです。でも」
「私が約束を破るのだから、現状のままにするのは当たり前の事よ。替わってもらうのが申し訳ないのよ…ごめんなさいね、逢生ちゃん」
「百子さん…」
「払うつもりだっていう上乗せ分は自分の為に貯金なりするといいわ。ね、お願いよ、逢生ちゃん。嫌でないのなら、住んで?引っ越しもこちらでもちますから、こちらの責任なんですからね、ね?逢生ちゃんが言うべき言葉は、遠慮したり気を遣う言葉ではないの。私が聞きたいのはね逢生ちゃん…百子さん、おはようございます、百子さん、ただいま、なのよ。いいわよね?」
「逢生さん、プレゼンが下手な私からも、お願いします」
こんなに望んでもらってる私は…なんて幸せ者なんだろう。断ることはできない。家賃の事はまた改めて話すことにして、取り敢えず…。
「…はい、お世話になります」
「はい、こちらこそ、ホホホ。今度は息子共々ですね」
「あ、はい。隣の結木です。よろしくお願いします」
「有り難う、いやぁホッとしたー。こちらこそ、お願いしますね、逢生ちゃん」
「あら、いやだ、調子にのって。貴方が逢生ちゃんて呼んでいいかは、まだ許してないわよ?奏介、バツイチ独身…、もうずっと仕事人間になってしまったの。人間不信…ずっと昔にね、離婚したのよ。こんなおじさんじゃなく、うんと若い時にね。会わない約束だけど物心もつかない小さい時に別れた娘が居るのよ。新しいお父さんも居るの」
「百子さん、私なら何でも…逢生ちゃんでも何でも大丈夫ですから」
息子さんはとても気の優しい人そうだ。娘さんて、やっぱり会いたいだろうな。もう、大きな…お嬢さんになってるだろう。はぁ、それにしてもとんでもない人格者に私は出会っていたと改めて思った。
「私を押し付けちゃってごめんなさいね」
「はい!」
「まあ…ホホ。逢生ちゃん、いいお返事、そうよそうよ、そういう感じ、お上手よ。ホッホッホ」