死にたがりティーンエイジを忘れない
「蒼ちゃんが受けるのは、日山高校だけ? 滑り止め、受けないの?」
いろんな人から、繰り返し、同じことを訊かれた。
わたしは滑り止めを受けない。
わたしの成績で、日山高校に落ちるはずがないから。
わざわざお金を払って、面接まである私立高校を受けに行くなんて、そんな労力は使いたくなかった。
あるときふっと思ったのは、どうして県外だとか、もっと遠いところの高校を感がなかったんだろう、ということ。
一人で、わたしを知っている人が誰もいない場所で、生きてみたら楽になるかもしれないのに。
中学生には、そんな選択、無理なのかな。
でも、ひとみや雅樹は高校進学のために木場山を出て、こっちで下宿生活を送るつもりだ。
そういう選択肢がわたしにもあればよかった。
今さらだけれど。
ひとみと雅樹は、受験のときはうちに泊まらず、ホテルを利用した。
旅行代理店が手配する受験生パックというのがあって、列車の切符とホテルと学校までの送迎タクシーが格安で利用できるらしい。
受験会場となった日山高校では、ひとみや雅樹に会うことはなかった。
二人はすでにケータイを持っていて、わたしが公衆電話から連絡すれば、会うことができたのだけれども。