死にたがりティーンエイジを忘れない


わたしが撮った写真は風景が多かった。

でも、誰のカメラの前でも笑顔になってピースサインをするタイプの子が何人かいて、そういう子は周りも巻き込んでにぎやかな写真を撮ろうとする。


最初、わたしは面食らった。

わたしはノリノリで「はい、チーズ」なんて言えないし、どうしていいかわからなかった。

照れくさいような恥ずかしいような思いをしながら、でも結局は変なペースに巻き込まれて、作り笑顔でシャッターを切った。


はいチーズには、言う側でも言われる側でも、最後までうまくなじめなかった。

けれど、こういう写真を撮っておいてよかったと、写っている人数に合わせて焼き増しの枚数を数えながら、そう思った。


場所があって人がいて、その日の空の色が写っていて。

そうすると、そこにどんな空気が流れていたかを、わたしは鮮やかに思い出すことができる。

この写真を撮りながらどんな会話をしたか、わたしは覚えている。


こうやってみると、竜也と一緒に撮られている写真が意外に多い。

一緒に行動した印象はあまりなかった。

ただ、最年長のわたしと竜也がいる場所に年少の子たちが寄ってくる傾向があったから、招集の目印として、並んで立つことがしばしばあった。


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