死にたがりティーンエイジを忘れない
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クリスマスカードは、町の大きな文房具店に売っている。
バスで出掛けてカードを買って、ついでに本屋を見て、それだけサッと帰る。
わたしは初め、そういうつもりだった。
ちょっと遅くなることを親に言っておけば、学校帰りに行くこともできる。
ところが、補習や模試のない日曜日にわざわざ行くことになってしまった。
映画とカラオケ付きで、晩ごはんまでしっかりコース。
ひとみがそれを言い出したんだ。
わたしがうっかりひとみに話してしまったから。
そうしたら、たまたま聞いていた尾崎も乗ってきて、ひとみは機嫌よくOKを出した。
尾崎は、ついでにということで、上田にまで声を掛けた。
正直言って、わたしは腰が引けてしまった。
ひとみだけならまだいい。
どうして尾崎が? しかも上田が?
わたしの私服は、流行なんて無関係のものばかり。
無難で地味で、男女兼用だからブカブカしたデザインだ。
尾崎や上田がどんな服を着てくるのかわからないけれど、気後れした。
だからといって、そのお出掛けのためにわざわざ新しい服を買おうなんていう気もない。
流行のものを調べることや知ること自体に、わたしは抵抗があった。
まわりと同じになりたくなかった。
まわりっていうのは、智絵を追い詰めて学校という世界から追い出した人たちだ。
わたしはそこに同化したくない。
ファッションも、メイクも、音楽も、テレビ番組も、芸能人のゴシップも、わたしは知らない。
知りたくなかった。
共通の話題なんてもので他人とつながりたくなかった。