死にたがりティーンエイジを忘れない
それでも、お出掛けを断る口実を見つけられずに、わたしは日曜日、待ち合わせ場所であるバス停に行った。
いちばんに来ていたのは上田だ。
ネルシャツにジーンズにスニーカーで、わたしと大差ない格好だった。
「おはよう。文系特進クラスの女子三人の中にぼくが加わって、お邪魔じゃなかったのかな?」
「今さらでしょ。わたしもどうしてこういう組み合わせになったのか、よくわかってない」
「発起人は蒼さんだって聞いたけど? だから僕も来たんだけどな」
「わたしは一人で行くつもりだった。ひとみと尾崎が計画を立てたんだよ」
上田はちょっと迷ったような顔して、口ごもりながら言った。
「ひとみさんってさ、すごく優秀だって噂は聞いてるんだけど、ちょっと変わってるよね。今日のこと、ダブルデートだって。デートって、どういう組み合わせ? どういう意図なんだろう?」
ひとみが無邪気な顔をして、ほとんどしゃべったこともない上田に挨拶をしに行く様子は、わたしにも想像できた。
「ひとみのデートの相手はわたしのことだよ。前、二人で、完璧にデートっぽいコースで出掛けたことがある」
「それって本当に……本当の意味で、そういう気持ちがあってっていうこと?」
「わたしは違う。ひとみは、ちょっと、わたしにもわからない。ひとみがほしいのが何なのか、本当に」