死にたがりティーンエイジを忘れない
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夏休みに入ってすぐ、竜也は電車に乗って琴野町まで、わたしに会いに来た。
平日だったから、わたしは学校での補習の帰りだった。
ミネソタで過ごす間はつねにズボンだったから、竜也の前で制服姿のスカートというのは気まずかった。
一年のうちに、竜也は背が伸びていた。
わたしの目の高さとだいたい同じだ。
「お久しぶりです!」
「久しぶり。遠かったよね? よくこんなところまで来れたね」
「まあ、遠かったですけど、まったく縁のない土地ってわけじゃないんですよ。ここを走ってる路線の、特急で一時間くらい行ったあたりに親戚が住んでて、今日もそこに泊めてもらうことになってて。あ、電話でもこれ言いましたっけ」
竜也は今日、その親戚のところで晩ごはんを食べる予定らしい。
だから、ここを夕方六時ごろには出なければならない。
案外、時間はなかった。
駅の裏側にあるコーヒーショップで話すことにした。
竜也はしきりにまわりを気にしていた。
わたしが同じ高校の誰かに見られたらまずいんじゃないか、と。
「別にどうでもいいの」
むしろ目撃されるほうが愉快かもしれない。
日山高校では、男女交際は自粛しろ、と集会のたびにアナウンスがある。
受験生になってから、進路指導の先生はますます口うるさい。
だからこそ、だ。
学校という世界に反抗する材料として、誰かに目撃されて噂にでもなればいいと、わたしは思った。