死にたがりティーンエイジを忘れない
ニコニコ明るい顔をしながら、竜也は案外、わたしと目を合わせない。
久しぶりに会って照れくさいんだろうなというのは、わたしにも伝わってくる。
じっと見られるより、わたしにとっては気が楽だった。
手紙でおおよその近況は伝え合っている。
竜也との会話は、手紙の内容の確認作業に始まって、ちょっと横道にそれながら話の枝が伸びて、という格好だ。
「じゃあ、蒼さんは今、ギターを弾いてないんですか?」
「下宿先には持ってきてない。部屋、狭いし」
「もったいないです。受験勉強で、弾いてる余裕もないんですかね」
「うん。大学に入ったら、ギターも復活させる」
「楽しみにしてます。小説とかホームページとかは続けてるんですよね?」
「そう。幸い、大叔母がパソコンを持ってて、なんとネットもつながってて、夜中だったら少し使わせてもらうこともできる。
だから、集会のときとかにね、原稿の下書きを書いて、夜にそれをパソコンで打ち込んで、ホームページにアップして、みたいな」
スマホがあれば、わたしの小説活動はもっと簡単に続けられただろう。
当時のネットは、スマホと比べて格段に面倒なものだった。
パソコンをネットにつないでいる間は、その代わりに、家の電話が使えない。
大叔母の迷惑にならないよう、夜中に最低限の接続をするだけだった。
それでも、書くことそのものは、受験生のわたしにとって唯一の安らぎであり、発散手段であり続けた。
書いていたのは小説だけではなくて、小説よりも時間をかけずに一つの結論を出せる短歌もよく作った。
筆箱の中に忍ばせたメモ帳に、尖った言葉を書き付けた。